今こそ、憲法９条を輝かせよう

　有事法制制定の危険な動きについて見てきましたが、ではどうすればよいのかということが一番大切なことです。日本にとって、平和に向けての一番の備えは憲法９条にほかなりません。

　１００年の単位で歴史を見るならば、人類は確実に戦争から平和へと進んでいることがわかります。

　２０世紀は、人類が国際的な平和秩序の巨大な前進が築かれた世紀でした。２０世紀初頭には戦争は一般に国家の合法的な権利として認められていました。しかし、２度の世界大戦を経て、戦争が違法化されました。ここにこそ、人類史の本流があります。

　その時代その時代の一側面だけを見るならば、後退しているように思えても、大きな時間の流れの上で歴史を見るならば、確かな本流として平和への方向へ流れていることがわかるはずです。問題は、その本流がどこにあるのかをどれだけの人がつかみ、逆流をゆるさないたたかいを作り出すかにかかっています。

　今、平和にとって巨大な逆流が巻き起こっているかのように思えるかもしれません。しかし、人類史の巨大な本流に確信を持って大きなたたかいを巻き起こすならば、それを打ち破ることは可能です。それは核兵器問題を見ればわかります。ほんの１０年前までは核兵器廃絶なんて夢物語だと世界中で言われていましたが、今では核兵器廃絶が世界の常識になり、２０００年にはついに核兵器国も一致して「核兵器廃絶の明確な約束」を勝ち取るにいたりました。

　日本国憲法は、戦争の放棄、武力による威嚇・武力行使の禁止、常備軍保持の禁止を明記しています。２０世紀は戦争が違法化された世紀だと述べましたが、日本国憲法はそのもっとも先駆的なものです。

　１００年という長いタイムスケールで物事を見るならば、人類は確実に平和へと進んでいます。人類全体の努力によって、２１世紀はその流れがよりいっそう大きくなり、戦争のない世界をつくる展望が大きく開けています。それを先取りした憲法9条は世界でも光り輝いています。

　日本は、平和憲法を持つ国として、戦争の準備をすることによってではなく、憲法の平和原則を高く掲げることによって、世界の平和に貢献できると思うのです。また、平和憲法を持った日本が、その精神で世界の平和に貢献するならば、日本が「有事」に巻き込まれる危険は限りなくなくなることでしょう。

　これまで見てきた有事法制の中身は、ご覧のとおりあらゆる面で日本国憲法を踏みにじるものです。

　つまり、このようなことを実現するならば、憲法改悪が必要になってきます。実際、有事法制制定の策動と憲法改悪の動きとは連動している面があります。憲法改悪のたたかいと切り結んで有事法制反対の声を上げていく必要があるでしょう。

　今、日本が「有事」になる危険があるのは、世界第一位の軍事力を持つ超軍事大国アメリカと、世界第二位の軍事費を費やしている日本が一緒になって周辺国への軍事介入の体制を強めているからなのです。

　日本がアメリカとの軍事同盟を断ち切って、アメリカと対等平等な真の友好条約を結べば、アジア諸国を中心にして平和的な関係を築くことができるのではないでしょうか。そして、そうしてこそ、平和憲法の真価を発揮することができます。

　有事法制の危険な本質はまだまだ国民に知られているとはいえません。知らない間に日本が戦争をする国になっていたということにならないように、この有事法制の制定は絶対に阻止しなければなりません。

　まず私たちがやるべきことは、この有事法制の危険な本質を多くの人に知らせることです。そして、知った人がまた周りの人にその危険な本質を広める。そうやってみんながおかしいと思うようになることが、有事法制をやめさせる最大の力になります。